エクセルシートは「作り込み」で業務効率「10倍」も

本稿でも、『まずビジネス現場から「エクセル方眼紙」を追放しよう』に続き、エクセル方眼紙の欠点を補う、「スマートな仕事の仕方」について紹介しておきたいと思う。当ウェブサイトの資産だと、下手をすると業務効率は10倍(あるいはそれ以上)になる。是非、マスターして欲しい。

エクセル方眼紙追放運動

まずビジネス現場から「エクセル方眼紙」を追放しよう』では、エクセル方眼紙の欠点について議論したのだが、エクセルというものは、不思議なもので、同じ作業をするにしても、それをする者の適正が見事に出てくる。

まずビジネス現場から「エクセル方眼紙」を追放しよう

本稿では、エクセルビジネスマンの悩みを少しだけ開示してみる。それは、「エクセル方眼紙」という罪深き存在だ。いったい何が問題なのか。 関連記事ワードの「ナビゲーシ…

これに関連し、本稿で紹介したいのは、「エクセル方眼紙」に関連し、「人間が見てわかりやすい資料」がデータ分析をする上で「良い資料」とは限らない、という事例だ。

NOT「エクセル方眼紙」

さて、「手書き」と「エクセル」の大きな違いはなにか。

最も大きな点は、さまざまな関数を使って業務を飛躍的に効率化させることができることだ。

ことに、「『タテ計』『ヨコ計』のチェックにSUM関数を使う」、「異なるデータ間の整合性を検証するのにVLOOKUP関数を使う」、「条件付き集計にSUMIF関数を使う」、「あるデータの個数をカウントするのにCOUNTIF関数を使う」などは、ビジネススキルとして覚えておいて損はないだろう。

さらに、応用技として、こうしたなか、「桁数が異なるコード番号同士の整合性を検証する」などの際には、文字列を切り分けるRIGHT関数・LEFT関数・MID関数、文字列の桁数を変更するためのREPT関数やTEXT関数、文字列を置換するSUBSTITUTE関数などのテクニックも身に着けたいものだ。

さらに慣れてくれば、INDIRECT関数、MATCH関数を組み合わせて、シートの名称を手掛かりに数十年分の財務諸表を1枚のシートに再現する、などのテクニックも現実のものとなっていく。当ウェブサイトとしても、これらのテクニックのパワフルな「実践技」を紹介していくつもりだ。

(なお、SUMIF関数に関しては『複数の条件に合致する数値を集計する基本的テクニック』なども参照されたい。)

複数の条件に合致する数値を集計する基本的テクニック

『集計を極める』シリーズでは、エクセルを使ったさまざまな「マニアック集計テクニック」を紹介していく。本稿では以前の『条件付き集計で計算も楽々!SUMIFの基本を覚え…

(※ちなみに現在の仕事でもエクセルやアクセスを使用しています。)

ヨコ展開?タテ展開?

こうしたなか、本稿で紹介したいのが、「エクセルのダメテクニック」である。

とある会社で先輩が、あんなシート(図表1)を作っていたとしよう。

図表1 あんなシート

このシート自体、「視覚的には」わかりやすいかもしれない。

ただ、このシートには、致命的な欠陥が3つある。

1つ目は、シートを作るのが決定的に面倒くさいこと、2つ目はデータ数が増えたときに収拾がつかなくなること、そして3つ目は加工が非常に困難であることだ。

エクセルというものは、一般的にエンターキーを押すとアクティブセルが下に移行するという性質がある。しかし、この書式だと、「東京支店の2020年3月期の売上高、売上原価、売上総利益」をヨコに入力していかなければならない(なお、横展開はエンターキーではなくタブキーを使うという方法もないではないが)。

しかも、「売上総利益」や「増減」(図表1のうち赤線で示した部分)については、いちいち計算式を入力する必要があるし、「増減率」(図表1のうち青線で示した部分)については、計算式を入力するだけでなく、「%表示」を可能にするための「書式設定の変更作業」も必要だ。

また、この設例だと支店の数は3つだけだが、たとえば分析すべき支店の数が10か所、20か所などと増えて来ると、収拾がつかなくなる。たとえばこれを無理やり1枚に収めるために縮小印刷すると、大変にまとまりがなくて読み辛い資料が出来上がってしまうかもしれないからだ。

さらには、この形式だと、後日、「売上高順に並べ替える」などの加工をすることも不可能である。

手間がかかるわりには使えない、まことに頭の悪い仕事といえるのだ。

同一属性のデータは縦に並べる

これに対し、スマートな仕事とは、こんなシート(図表2)のことをいう。

図表2 こんなシート

この場合、図表1と比べ、視覚的にはたしかにわかり辛いかもしれないが、入力作業自体は非常に楽であり、また、エクセルを使って様々な場面で加工すると考えたときには、何かと便利なのである。

そもそも数式を入力するセルである「売上総利益」や「増減」については、一ヵ所にまとまっているため、とりあえず「売上高」と「売上原価」だけを入力してしまえば、あとは範囲指定して数式を入力し、コントロールキーを押しながらエンターを押せば、一発で数式を入れることができてしまう。

「増減率」については列ごと選択し、書式設定画面(Ctrl+1)を選んで指定すれば良いので、大変に楽だ。また、一番上のセルだけ数式入力・書式設定を行い、そのセルを含めて範囲指定を行って「Ctrl+D」を押すという方法でも、同じ内容を下のすべてのセルにコピーすることができる。

そして、この方式のパワフルさを実感していただけるのが、「並び替え(Alt→D→S)」機能を使って図表2を項目別に並べなおしたもの(図表3)だ。

図表3 項目別並び替え

このようにしたうえで、罫線で支店ごとに囲めば、そのまま図表1の代替となるだろう。

業務効率は何倍になるのか

ちなみにある人が試したところ、業務効率は次のとおりだった。

  • 図表1…作成時間10分
  • 図表2…作成時間1分(※ショートカットなし)
  • 図表3…ショートカット(「Alt+D+S」、つまり「並べ替え」)を使えば5秒

また、図表2、図表3のような図表を作っておけば、オートフィルタで「売上高」「売上原価」などを選んで、別シートに転記しすればグラフ化することもできるなど、加工しやすくなるうえ、同じデータを来年まで残しておけば、歴年のデータ分析も可能となる。

いずれにせよ、作業をデータ化するうえでは、エクセルは方眼紙形式として使うよりも、やはり表計算ソフトとして、あるいは準データベースとして使うのが正しいのだ。